ビュートゾルフとは
「ビュートゾルフ」は、2006年にオランダで設立された非営利の在宅介護を支援する団体です。
ビュートゾルフはスタッフの人数は最小限で管理職も一切存在しないというユニークな組織形態で大幅な経費削減を実現しました。
それだけに留まらず顧客満足度は業界の中でナンバー1、従業員の満足度も高いため離職率も低いという成果を出しています。
その実績から組織は急成長し、2006年の設立時には4名のみだったメンバーが15,000名まで増員。
世界的にも注目を集め、現在ではオランダ国内だけではなく日本を含む世界の24カ国にまで広がっています。
ビュートゾルフの組織の特徴
ビュートゾルフには1万5千人ものメンバーがいますが、驚くべきことに一般的に”管理職”と呼ばれる役職者は組織の中に存在しません。
現場以外にバックオフィス業務の担当者として約40人、コーチとして約15人のメンバーは存在しますが、そのコーチ達の主な業務は現場のサポートであり、管理をすることは求められていません。
管理職が存在しないビュートゾルフの組織ですが、組織としての形を保つための下記のような決まりごとは定められています。
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- 各チームは12名以下のスタッフで構成。
- ビュートゾルフの基本目標に基づき、各チームが自主的に活動。
- 介護サービスの提供と同時に、人事やビジネス戦略もチームで管理。
- バックオフィススタッフはチームのサポートに徹する。
- 15名のコーチがチーム間の討議や意思決定を助ける。
- チーム間での情報交換、知識共有、助言の提供が行われる。
- ITツール「Buurtzorg Web」を通じた効率的なコミュニケーションと情報管理
この決まりごとからも、マネージャーのいない少人数のチームがそれぞれ独立して自律的に運営されている特殊な組織であることが分かります。
バックオフィススタッフはあくまでチームの援助をするのみであり、監督する立場の上司や部下の関係性は存在しません。
ビュートゾルフが評価された理由3点
①サービスの質が向上するから
ビュートゾルフは、トップダウン式の管理を排除し、各チームに意思決定の自由を与えることで、自律的なチームベースの運営を実現しています。
この自由度の高さが、スタッフのプライドとやりがいを高め、仕事の満足度を向上させています。
その結果、専門性の高いケアとサービスの質が向上し、ビュートゾルフは在宅ケア分野で高い評価を受けることとなりました。
この成功は、世界中の組織に新しい働き方の標準を提案し、大きな影響を与えています。
②ICT(情報通信技術)の活用方法が画期的だから
ビュートゾルフは、業務の効率化と情報共有を目的に「Buurtzorgweb」という専用アプリを開発しました。
このアプリは、業務日誌の記録、利用者の状況やケア内容の共有に役立っています。
また、日誌のデータを基に、メンバーの生産性を自動計算し、その結果をBuurtzorgweb上で公開しています。
このシステムはケアプランの改定、変更の告知、シフト計画などにも活用され、組織全体の運営効率を高めています。
専用アプリ「Buurtzorgweb」を活用した情報共有と生産性の可視化は、業務効率化に大きく寄与しました。
③管理職がいないのに組織が成長するから
従来の階層型組織構造を排除し、最大12人のスタッフで構成される自律的なチームによる運営を採用しています。
このシステムは、チームメンバーの意思決定能力を強化し、個々の責任感を高めることで、組織全体の効率とサービスの質を向上させています。
各チームが自主的に業務を遂行し、共有の目標に向かって協力することで、管理職の不在が逆に組織の柔軟性と成長を促しているのです。
この革新的なアプローチが、ビュートゾルフの急速な拡大と高い評価の理由となっています。