ダイバーシティ経営が広まった背景
ダイバーシティ経営は、もともと1960年代のアメリカで推進され始めました。
これは1964年に公民権法が制定され、その中で雇用における差別を撤廃するよう規定しており、これにより性別や人種にかかわらず皆が平等に雇用の機会があるべきだ!という考えが広まったとされています。
日本においては、1980年代以降にダイバーシティ経営の概念が広まり始めました。
きっかけは、1985年に定められた「男女雇用機会均等法」です。
採用や昇進など、雇用に関して男女間の差別を禁止するこの法律が制定され、女性の社会進出が進んでいきました。
2000年代からは、障がいのある人や外国人の雇用にも積極的な企業が増えてきており、2012年度にはダイバーシティ経営の裾野拡大を目指し、経済産業省が「ダイバーシティ経営企業100選」をスタートしています。
日本におけるダイバーシティ現状と今後
外国人労働者数
現在日本では少子化が進み、人口は減り続けています。
そんな中、厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によると、2022年10月末の時点で日本で働いている外国人は182万2725人となり、前年と比べ9万5000人余り増えました。
これは過去最高の外国人労働者数です。
また、外国人を雇用する事業所数は、前年比4.8%増え過去最高の29万8790カ所となりました。
女性管理職
女性管理職の割合は、国際的に見るとG7 (米国、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本の7か国の財務大臣及び中央銀行総裁) の中で最下位で、国際的にはまだまだ低い水準です。
これを踏まえ、政府は2023年6月に発表した女性活躍と男女共同参画の重点方針「女性版骨太の方針」にて、企業の女性登用の現状についてまとめました。
以下は一部抜粋したものです。
【女性活躍と経済成長の推進】
プライム市場上場企業の女性役員比率の目標設定:2025年までに30%以上の女性役員を目指す。
女性リーダーの育成と登用支援:研修の強化、好事例の共有などを通じて女性のリーダーシップを推進。
【女性起業家の育成・支援】
「J-Startup」プログラムでの目標設定:女性起業家の割合を20%に増やす。
ネットワーク構築と資金調達支援:女性起業家の成功を支えるためのプログラムの実施。
【女性の所得向上・経済的自立の強化】
柔軟な働き方と育児支援策:長時間労働の是正、男性育休の推進などを通じて、女性のキャリアと家庭の両立を促進。
男女間賃金格差の解消:企業の開示に基づく格差解消の支援と事業主の開示義務の拡大を検討。
これらのポイントは、女性の社会的・経済的な地位向上や男女平等の推進に大きく貢献する取り組みです。
日本では、2025年には高度経済成長を支えてきた「団塊世代」が75歳以上を迎え、
また、2030年には、人口のおよそ3分の1が65歳以上の高齢者になります。
それにより経営者は、採用や教育の効率化において即戦力となる人材の獲得や、職場における人材定着率の向上を再考する必要があるでしょう。
また、デジタルを活用した省力化や生産性の向上に取り組むことが今後求められます。
実践する際のポイント
CFIではダイバーシティ経営の最も効果的な活用方法について、以下のようにまとめています。
経営幹部のコミットメント
労働力のダイバーシティは、企業のリーダーが企業内でビジョンを共有することで成功するでしょう。
組織のリーダーは政策立案の責任者であり、その政策次第では職場のダイバーシティを推進することも(排除することも)可能です。
リーダーがダイバーシティ戦略の実施にコミットメントを示さない場合、ダイバーシティ計画は大きく制限されます。
新たな人材の発掘
あなたの組織が採用者数よりも、離職者数の方が多い場合、経営陣は即座に新しい人材を採用しなければなりません。
ほとんどの企業は、優秀な人材を新しく採用するために、競合組織や大学院といった従来の新入社員を好むでしょう。
しかし、伝統的な新入社員だけでなく、退役軍人、少数派グループ、他の地域や国からの人材など、他の人材候補にも目を向けてみるのもいいかもしれません。
多様なスキルや知識を持つ人材を採用することで、企業はグローバルな顧客ベースにより、質の高いサービスを提供することができるでしょう。
多様性に関して対話する場を提供
企業は、同じような背景を持つ従業員がつながり、安全な環境で自分たちの懸念を伝えられるようなグループを作るべきでしょう。
少数派のグループの人々は、孤立していると感じることが多く、その結果、従業員の離職率が高まる可能性があります。
メンターシップ、ネットワーキング、社交の場を設けることは、従業員のエンゲージメントと業績向上に役立ちます。
成功したスタッフは、組織内でどのように成功を収めたかを示し、新しいスタッフを指導することができるようになるのです。
ダイバーシティを企業目標に追加
企業は、障害者ウォークやHIV/AIDs啓発フォーラムなど、さまざまな活動にボランティアとして参加するスタッフを奨励し、支援することから始めることができます。
また、社会的弱者や社会的地位の低い人々を支援するための資金集めのための募金活動を主催したり、少数派グループにインターンシップや奨学金を提供することもできるかもしれません。
取り組み事例
Socialtalentでは、ダイバーシティ経営に積極的に取り組んでいる企業を紹介しています。
Jonson & Jonson
業界: 医療機器、医薬品および消費者向け包装品
従業員数: 140,000 人以上
Jonson & Jonsonでは、すべての従業員が包括的な環境の構築に協力できるよう、多くのリソースを投入してきました。
この組織のダイバシティにおけるビジョンは、「すべての人がそれぞれのユニークな経験、能力、背景を活用して、より良い、より健康な世界を生み出すソリューションを生み出すこと」です。
同社は2025年までに全世界で女性管理職の比率を50%にすることを目指していており、
アメリカ支社では、組織は管理職に 35% の人種的多様性を持たせることを目標としています。
Mastercard
業種: 金融サービス
従業員数: 29,000人以上
Mastercardは、 DiversityInc の多様性に優れた企業 50 社のリストで常にトップ 10 に入っており、公平な労働力の創出と育成に積極的に取り組んでいます。
2021年時点では、候補者の最終面接の81%には女性が含まれており、多様なコミュニティとその同盟者を代表するために、47 カ国に 130 の支部を持つ 9 つのビジネス リソース グループ (BRG) を設立しました。
Mastercardは、性別適合手術や代理出産支援などの実質的な従業員福利厚生も提供しています。
また、8 歳から 12 歳の少女向けの STEM カリキュラムである Girls4Tech へのスポンサーシップなど、さまざまな多様性への取り組みにも投資しています。
Marriott International
業種: ホスピタリティ/観光業
世界中の従業員数: 120,000人以上
職場の優秀性に関する最大規模の調査である Great Place to Work によって「世界最高の多国籍職場」の 1 つに選ばれたMarriott Internationalは、世界中の従業員に包括的なゲスト体験を生み出す取り組みを広げています。
同社では、公平な職場の推進に重点を置いているため、Marriottの上位 1,000 人のリーダーの 40% 以上が女性です。
また、同社は 2025 年までに世界のリーダーシップにおける男女平等の実現を目指しており、従業員の 53% が女性で、有色人種が 66% を占めています。
Forbes誌の「多様性に優れた雇用主」にランクインしている同社は、サプライチェーンのさまざまな分野で、毎年4,000社を超える多様性に富んだ企業と提携しています。
まとめ
いかがでしたか?
ダイバーシティの推進は、女性や外国人、障害のある方など、多様な属性や能力、価値観、経験を持った人材の確保につながり、それが変わりゆく時代のニーズを、迅速にくみ取ることにつながります。
新たな人材を探し求め、対話の場を提供し、ダイバーシティ経営を企業の目標のひとつに取り入れてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考サイト
nippon.com 日本の外国人労働者:2022年は過去最多の182万人に―厚生労働省調べ
Socialtalent 9 Companies Around the World That Are Embracing Diversity in a BIG Way
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