人事評価

「人事評価はもういらない?!」ノーレイティングの3つの事例

「従業員の働き方や考え方が昔とは違って、組織文化も変わりつつあるね」
「昔のやり方だと、今のスタッフたちのニーズや価値観に対応できていない感じがする」

経営者や人事に携わるみなさんは、こんな会話に共感する方も多いのではないでしょうか。
近年、多くの外資系企業が、従来の評価やランキングに頼るのではなく、ノーレイティングと呼ばれる新しいアプローチを採用しています。このトレンドは、個々の従業員の特性や能力をより詳細に理解し、一人ひとりに合わせたサポートやフィードバックを提供することを目指しています。ここでは、なぜ多くの企業がこの新潮流に賛同しているのか、そしてそれが従業員と企業にもたらす影響について考察していきましょう。

ノーレイティングとは?

ノーレイティングは、従業員の業績や評価を数値やランクで表す伝統的な手法を排除し、代わりに個々の能力や成果に焦点を当てる新しいアプローチです。外資系企業の中には、ノーレイティングを評価システム全体に導入し、従業員が自分の成果や成長をより細かく示す機会を提供しています。

なぜノーレイティングが注目されているのか?

個別の強みを尊重

ノーレイティングは、一般的な評価基準から離れ、各従業員の個別の強みやスキルに焦点を当てます。これにより、人それぞれの才能や貢献度がより明確になり、個人の成長を促進するのです。

コミュニケーション強化

伝統的な評価が部下と上司の一方向のものであるのに対し、ノーレイティングは双方向性を重視しています。従業員は自身の目標やニーズを明確にし、上司もそれに基づいて適切なサポートを提供できるようになります。

柔軟性の向上

ノーレイティングは、業績を数値やランクで厳密に評価する従来の制度に比べて柔軟性があるアプローチです。プロジェクトごとに異なるスキルが求められる現代の仕事環境において、柔軟性が重要視されています。

企業と従業員への影響

従業員のモチベーション向上

ノーレイティングは、従業員が自らの目標に向かって進む自己モチベーションを促進します。成果が個別に評価され、それに基づいてフィードバックが得られることで、やりがいや成長への意欲が高まるでしょう。

リーダーシップの向上

上司も従業員の個別の強みやニーズを理解することで、リーダーシップが向上します。個別のサポートや指導が可能になり、組織全体の効率性やイノベーションが促進されるでしょう。

組織文化の形成

ノーレイティングは、協力と柔軟性を重視する組織文化を形成する一翼を担います。従業員同士や部門間の連携が強化され、組織全体がより効果的なチームとして機能することが期待されるのです。

導入の事例

メルカリ

メガベンチャー企業であるメルカリが、急成長の中で個人のパフォーマンス評価において「ノーレイティング」「絶対評価」を導入しています。メルカリの経営陣は、レイティング(ランク分け)の代わりに、絶対評価の制度を採用し、1,000名を超える組織においても個別のパフォーマンスを評価するのです。
メルカリでは昇給額に原資を設けず、経営陣はメンバー1人ひとりのパフォーマンスに応じて適切な評価を行いたいとの想いが込められています。この取り組みには、経営陣のメンバーへの深い理解と、メルカリのカルチャーが影響していますね。会社全体のバリューに反映されたプロフェッショナル志向の文化が、アウトプットやパフォーマンスを通じた個別の評価に対して馴染みと納得感を生み出していると言えるでしょう。

Microsoft

Microsoft(マイクロソフト)は、従来の年次評価をやめ、新たに導入した評価制度において「ノーレイティング」の特徴が光ります。
この制度では、3ヵ月に1度の「コネクト」面談が行われ、社内ツールに質問への回答が記入されます。従業員はその期間における貢献やビジネスインパクトについて報告し、次に大きなインパクトをもたらすための提案や目標を共有するのです。
これらの情報は定期的な上長との一対一の面談で活用され、次回のコネクトで振り返ります。

質問の一環として、「どのような貢献をし、どのようなビジネスインパクトを残したか」が問われ、その結果としてどのようなインパクトが生まれたかが評価されます。
また、「さらなる大きなインパクトをもたらすためには何ができたか」や「次の数ヵ月でどんなインパクトを目指すのか」といった質問が重要なポイントとなっていくのです。
これらの情報は半期や年間の評価の基準となり、従業員は他のメンバーや関係者にも評価を依頼できます。全体的に、評価の焦点は従業員がもたらすインパクトにあると言えそうですね。

アドビ株式会社(Adobe KK)

アドビ株式会社は、独自の評価制度である「Check-in」を導入し、これに関連した独自開発のCheck-inツールを販売しています。この制度では、特に以下の2つが重要なポイントとされているのです。

  1. マネージャーへのトレーニング

    アドビは、チェックインを導入する際に、最初に上級リーダーにトレーニングを展開し、その後にマネージャー、そして従業員にもトレーニングを提供する包括的な計画を設計しました。
    トレーニングは初期段階において特に重要であり、継続的なトレーニングが行われています。これにより、チェックインの効果的な実施が促進されてます。

  2. パフォーマンスの振り返り・目標設定・計画を面談で話し合う

    チェックインの会話を成功させるためには、マネージャーと従業員がビジネスのリズムに基づいた会話のリズムを設定することが重要でしょう。
    パフォーマンスの詳細な振り返りと、改善すべき点に焦点を当て、各直属の部下とアクションアイテムを作成し、定期的な確認を行います。
    同時に、従業員も前回の会話で設定したアクションアイテムや目標の進捗状況、成長のための開発ニーズやアイデア、そして長期的な目標と計画について準備を行います。
    これらの要素が、効果的なチェックインの実現に寄与しているのです。

まとめ

ノーレイティングが、外資系企業で広がりつつあるのは、個々の従業員を大切にし、柔軟で効果的な組織文化を築くための新しいアプローチとして注目されているからです。
これにより、従業員はより意欲的に働き、組織は個別の特性を生かしてより効果的に成果を上げることが期待されます。

導入企業多数!オレコン独自の評価制度はこちら

関連記事