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『辞めた人=裏切り者』はもう古い!【アルムナイ採用】で会社の味方を増やそう

「求人を出しても人が集まらない!」
「イチから教育する余裕はないから、即戦力が欲しい」
「でも採用にお金はかけられない!」

こんなお悩みはありませんか?

求人情報サービスは人が集まるけれど、掲載料や成約料がかかりますよね。転職エージェントは即戦力を見つけてきてくれる一方で、紹介料がとんでもなく高い。経営者の方は頭を悩ませているでしょう。

そんな時に、採用にお金もかからず、しかも即戦力。さらに会社のことをよく知ってくれている人がいたら、採用したくないですか?

今回は退職した人をまた雇用するという『アルムナイ採用』をご紹介します。そのメリット・デメリット、成功事例を見てご自身の会社にとって良い人材がいるかもしれない、と考えるきっかけにしてみてください。

アルムナイ採用とは?

「アルムナイ」とは、ラテン語で「卒業生」という意味です。採用におけるアルムナイとは企業を退職や転職したOB・OGなどのことを指し、そのほかにも「カムバック採用」「出戻り採用」「ジョブリターン採用」とも呼ばれています。

育児、介護、配偶者の転勤などで退職を余儀なくされたり、就学・留学・転職などキャリアアップを目指して退職したりした従業員を、本人の希望により再び雇用することをアルムナイ採用と呼びます。

アルムナイ採用が注目されている理由

厚生労働省が発表した令和5年6月の有効求人倍率は1.30倍と、企業の経験者採用では応募者の数・質ともに確保が困難です。

そんな中「アルムナイ採用」は即戦力である、会社のカルチャーにフィットしやすい、といった面から注目されています。

2018年エン・ジャパンが行った出戻り社員(再雇用)についてのアンケートによると、一度退職した社員を、出戻りで再雇用した企業は72%で、「即戦力を求めていたから」、「人となりがわかっており安心だから」、「採用コスト削減」が理由の上位3位です。

参照:en人事のミカタアンケート「出戻り社員(再雇用)について」

また、現在の日本では終身雇用は崩壊しはじめ、成果主義、ジョブ型雇用が取って代わってきています。個人が理想の働き方や、やりたいことを追求するために会社を辞めるということが以前よりカジュアルになってきている一方で、辞めた会社に戻るというケースも少しずつ増えてきています。

今までは、従業員数が多い(アルムナイが多い)大手企業を中心にアルムナイネットワークの導入が進んでいましたが、最近では数百人規模の中小企業でもアルムナイ採用が導入されています。

アルムナイ採用のメリット・デメリット

■メリット

①即戦力人材を確保できる

自社で働いた経験があるアルムナイは、自社の業務内容や商品、サービスに関するさまざまな知識を有しています。自社の業務内容や社風、企業理念を理解しているため、即戦力として活躍してもらえる可能性があります。

②採用ミスマッチを減らせる

アルムナイはもともと自社で働いていた社員ですので、人柄や能力もある程度把握できる人材です。

アルムナイ採用を導入している企業では「過去2年以上勤務していた」など勤務期間に条件を加えている企業が多いように、ある程度長く働いたからこそ、企業側がその人の人となりを理解できています。

これにより採用後のミスマッチの心配も最小限に抑えられます。

③外からの知見で社内が活性化する

一度自社を退職した後、異なる業界・企業で活躍してきた人材には、新しいスキル・知見の蓄積があります。

他社で経験を積みスキルを磨いてきた人材ですので、高いパフォーマンスを発揮してくれる可能性が高いといえるでしょう。また業務を通じ、第三者的な視点から、今までなかった新しいノウハウやスキルを提供してくれます。

アルムナイは「企業の外も中も知っている人」ですから、とても価値が高いと言えます。

④採用・育成コストを削減できる

転職サイトや転職エージェントなどの求人媒体を利用せず、企業が直接アルムナイにアプローチにするため、採用コストが抑えられます。

また、自社の業務内容や社内システムなどを理解している人材なので、新人のように一から教育する必要もなく、育成コストも抑えられます。

■デメリット

・成果がすぐ出ないため、長いスパンでみる必要がある
・アルムナイが職場に再びなじめない可能性がある
・既存社員の不満を考慮する必要がある

『即戦力のアルムナイ』と言いましたが、アルムナイを採用して良かったかどうか、成果や効果はすぐに出るものではありません。

また、非雇用期間にアルムナイ自身の考え方や変わっていることや、会社が変化していることもあるので、必ずしも再び両者がマッチするとは限らないのです。

さらにアルムナイは経験者であるため、再雇用時の評定をどのように扱うかを慎重に検討する必要があり、これを誤ると既存社員の不満を引き起こす可能性があります。

アルムナイ採用には「良い辞め方」がポイント

アルムナイを活かすためには、自社をあとにした優秀な人材に「またここで働きたい」と思ってもらえるよう、日頃から従業員と良好な関係を築いておくことが大切です。

良いアルムナイが多くいれば、会社がピンチのとき、または会社をもっと大きくしていきたいときに、会社の一員として活躍してくれる人材が多くいることになります。

ここでは良いアルムナイを増やすために「辞めたい」と言われたときの対応のポイントをご説明します。

「辞めたい」と言われたときどうする?

①過去の貢献を認める

退職希望者が過去にどのように会社に貢献してくれたか、お互いに振り返ってみましょう。過度に引き留める必要はありません。

会社にとってあなたという存在が、どれほど価値があったのかを振り返りましょう。

②選択を尊重する

現代の日本社会は終身雇用ではありません。多様な生き方があり、その分だけ働き方が存在します。退職希望者のその先の挑戦を否定せず、むしろ応援する気持ちで送り出してください。

③いつでも待っていると伝える

たとえば退職理由が介護や育児、配偶者の転勤などやむを得ない理由であった場合、「状況が変わったらまた戻ってここで働きたい」と思ってもらえれば、退職希望者が再び働ける状況になったとき、即戦力になるでしょう。

いつでも待っているという姿勢を伝えるようにしましょう。

アルムナイと、どう繋がるの?

従業員の退職後もアルムナイ人材との関係性を維持し、有益な意見交換を行うなどアルムナイとの交流ネットワークを維持しておくこともポイントです。

ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社は、2017年に退職者の会モトヤフを設立し、ヤフーを退職した人同士、または会社とアルムナイでのさまざまな交流を図ることを目指しています。

自社でのアルムナイ制度構築が大変なら、アルムナイとつながるサービスを利用するという手もあります。このようなサービスを利用すると、アルムナイの名簿の管理、連絡を一極化することができ、またアルムナイに向けた企業の情報を提供する場としても利用できます。

そこまでコストをかけずとも、会社のSNSでアルムナイとつながっておく、というのは現在では最も手軽なアルムナイネットワークの構築方法です。企業の情報を発信するという面では、noteを活用している企業も多くあります。希望者には退職時にアルムナイネットワークに登録を促したり、企業ページにアルムナイ制度についての案内を載せたりするのも有効です。

大切なのは、企業のいま、そしてこれからをアルムナイに発信していくことと、必要な時にアルムナイに連絡ができる、アルムナイから気軽に連絡が取れる、ということです。

「雇わない」アルムナイのメリット

①正社員ではなく業務委託でも

「正社員を雇う余裕はないけれど、人が欲しい、しかも即戦力が…」そんな一見わがままな要望もアルムナイ採用なら叶うかもしれません。

アルムナイ採用は、なにも正社員雇用である必要はなく、業務委託契約でも可能です。必要なときに手を借りたい。副業レベルでもいいから少し昔の経験を活かして業務の手助けをしてほしい、優秀なアルムナイがいればそれも可能になるかもしれません。

②アルムナイから仕事を紹介される

アルムナイが他社に就職し、そこから仕事を紹介された、という事例も少なくありません。

退職者と良好な関係を築いていれば、雇用の切れ目は縁の切れ目ではなく、アルムナイが新たな就職先で「こんな仕事あるんだけどやってみませんか?」と新たなビジネスチャンスを運んでくれることもあります。

また、アルムナイから知人を紹介され、それが採用につながることも多くあります。

③アルムナイは広告塔になる

「あの会社はああいうところが良かったなあ…」と以前働いていた企業について話したことはありませんか?また、そんな話をしている人に出会った経験はありませんか?

良い辞め方ができた人はその会社のファンになります。「会社の考え方が好き」「あの会社やっぱり面白いな」という声はアルムナイによって広まり、企業イメージの向上が期待できます。

すると自然と「この会社の口コミ良かったから」と人が集まるようになります。

アルムナイ採用の成功事例3選

①日本航空(JAL)

JALでは、コロナ禍で停滞した人材採用を3年ぶりに再会し、JALと入社希望者を繋ぐプラットフォーム「JAL Next Career GATE」を開設しました。

同時に、即戦力人財としての活躍を期待して、アルムナイ採用の実施を公表しました。パイロットのように専門性の高い人材は、不足してしまうとなかなか補うのが難しいため、このようなアルムナイ採用は航空会社の需要とマッチしていると言えます。

②Soup Stock Tokyo

スープストックトーキョーでは、社員やパートナーが会社を卒業したあとも繋がり続けるために、「バーチャル社員証」を発行しています。バーチャル社員証を有した元社員は、スープストックトーキョーの店舗で、社員と同様に割引で食事ができ、また試食会などの社内イベントにも参加可能です。

それまでは個人個人でしかつながっていなかったアルムナイと社員が、公式に会社とつながることで、アルムナイとのwin-winな関係を作っています。

③荏原製作所(えばらせいさくじょ)

ポンプメーカーの大手である荏原製作所は、2021年人材確保の一環としてアルムナイコミュニティを立ち上げました。コミュニティではアルムナイとの交流に特化したクラウド型SNSシステムを導入し、SNSを通じて、社内のニュースやキャリア採用の情報を提供しています。

また、退職者からの声を組織課題へのフィードバックに生かし、在職者にとっても働きがいのある組織づくりを目指しています。

まとめ

いかがでしたか?少子高齢化、働き方の多様性が進む中、人材確保は企業にとって大きな課題です。特に優秀な人材や、即戦力となる人材の獲得競争は、今後さらに激しくなっていくでしょう。

アルムナイは退職や転職を経て経験を積み、新たなスキルを持つ個人であり、企業にとって有益な要素が多い存在です。アルムナイ採用は、従業員との良好な関係やネットワーク構築、適切なアプローチがポイントであり、会社とアルムナイの継続的な交流が成功の鍵となります。

アルムナイ採用を導入し、人材の獲得→社内の活性化→良いアルムナイの輩出の好循環を作り出しましょう。

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