人事評価

成果主義の導入失敗で28%離職!日本に合わない理由を徹底解説

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「成果主義の人事評価制度を導入したらなぜか失敗した」
「モチベーションが上がり業績も良くなると思ったのに、上手くいかない」
「成果主義の導入を検討しているが、失敗はしたくない」

こんなお悩みを抱えている経営者の方は多いでしょう。

成果主義の人事評価制度は、競争心が高まり、業績が向上することも期待できます。しかし、成果主義は万能ではありません。従業員のモチベーションが低下するだけでなく、最悪の場合、優秀な人材の離職率が上がるなど、導入失敗に悩む企業も少なくないのです。

実際に、成果主義の導入失敗で、離職率28%となった企業もあります。

この記事では、成果主義導入失敗の理由や、日本の企業がなぜ成果主義が合わないのかが分かる事例を解説します。

そのうえで、成果主義の人事評価制度の導入を検討している経営者に向けて、導入を成功させるポイントも確認してみてください。

最後まで読むことで、成果主義のメリットやデメリットが分かり、導入をすべきかどうか判断できるようになっているはずです。ぜひ、じっくりとお読みください。

そもそも成果主義とは?

成果主義とは、従業員が行った仕事の成果に応じて報酬を決める仕組みのことです。

例えば、営業であれば、成約件数や売上が多い人ほど評価が高くなり、昇給が早くなったり、給与やボーナスの査定が上がったりします。

成果主義では、勤続年数や年齢が高く何十年も頑張ってきた社員よりも、後から入ってきた新人が先に昇格することもあります。

次の章で、もう少し、成果主義を深掘りしてみましょう。

成果主義の3つのメリット

成果主義のメリットは以下の通りです。

従業員のモチベーション向上

成果主義は、従業員のモチベーション向上につながります。なぜなら、年齢や入社年月日に関わらず、数字をベースに評価されるため、納得感が高まるからです。

年功序列の人事評価制度では、昇進や昇給までに時間が掛かるため、若手の従業員や新人のやる気を削いでしまいます。

特に、優秀な人材のモチベーション向上につながるでしょう。

競争心が高まり社内が活性化する

成果が昇給や昇進に直結するため、競争心が高まり、社内が活性化します。

例えば、若手であっても責任者に抜擢することもあれば、成果次第では、ベテラン社員が降格することもあり得るのです。

また、競争心が芽生えることで、自分が担当する業務について、効率的な仕事の進め方を模索したり、自己研鑽したりと、生産性の向上も期待できるでしょう。

人員コストの適性化

成果主義では、従業員の賃金は、成果に応じて決定します。年功序列と違い、長く勤めているから、年齢が高いからという理由で、給与が高いわけではありません。

会社によって、等級や役職が賃金に加算されることはありますが、成果が基準となります。そのため、年齢や勤続年数に関わらず、成果を出す従業員には給与を上げて、成果が出せなければ給与を下げられます。貢献度に応じて適性に給与を渡すことができるのです。

成果主義は日本に合わない!失敗した3つの理由

次は、成果主義のデメリットを深掘りします。なぜ、成果主義は日本に合わず、失敗することが多いのでしょうか。

理由は大きく3つあります。

①日本企業の文化と合わない

成果主義は、アメリカの企業で生まれた評価制度なため、日本企業の文化と合わないことが挙げられます。

日本の企業は、終身雇用制度を採用している場合が一般的でした。成果主義を導入すると、業績に応じて報酬や評価に影響があるため、場合によっては待遇が悪くなる可能性があります。

成果主義では、給与が不安定な状況になる可能性があり、従業員の不満が募るだけでなく転職など選択肢を持つ可能性が高まるでしょう。

安定した雇用を重視している考え方が大きいことから、成果主義が失敗に終わることが考えられます。

②評価基準が明確ではない

評価基準があいまいで分かりにくい場合も失敗する原因の1つです。

何も基準を決めずに成果主義の導入することで、従業員の不満や組織内の不和を招く可能性があるからです。

成果主義では、個々に目標を掲げて業務に取り組みます。下記のパーソナル総合研究所が行った「人事評価制度と目標管理の実態調査」のアンケートによると、「目標を定量化するのが難しい」、「個々人や部署により目標の難易度が違う」など評価基準が明確ではないことを指す項目が上位に上がっています。

参考:パーソル総合研究所:人事評価制度と目標管理の実態調査「図.3 目標管理制度への不満」

成果主義の場合、具体的な売上などの定量的な数字で判断されます。例えば、営業など成果が数値的に判断しやすい従業員では、目標も立てやすくいい結果に向けて努力しやすいでしょう。

しかし、事務やカスタマーサービスなど数値的な判断がしにくいバックオフィス業務の場合、成果主義では適切に評価ができず、失敗してしまうことがあります。評価される従業員だけでなく評価をする上司も、どのように評価をすればいいのか分からず、上司の主観に左右されてしまう恐れがあるのです。

その場合、自分の仕事が評価されていないと感じ、モチベーションが低下し、最悪のケースに至ると離職につながることもあるでしょう。

下記の記事では、人事評価が原因で従業員のモチベーションが低下してしまう原因を詳しく解説しています。人事評価でお悩みの方は下記の記事も併せてお読みください。

③社内の教育が疎かになった

社内の教育やコミュニケーションなどが軽視されることも失敗の1つです。

成果主義を導入すると、自分の成果を優先する人が増えてしまいます。若手社員や新人社員が入社したとしても、スキルやノウハウの継承など数字とは関係ない業務を行わない習慣になってしまいます。そのため、人材開発が疎かになり、企業の生産性低下に影響を及ぼしてしまうのです。

さらに、個人主義に陥り、チーム内でのコミュニケーションが滞り、業務効率の悪化やトラブルの発生につながってしまいます。

成果主義を導入した企業の失敗事例3つ

実際に、成果主義を導入した企業の失敗事例を3つご紹介します。

①サイボウズ株式会社

冒頭でも少し触れましたが、グループウェア大手のサイボウズ株式会社は、成果主義の人事評価を導入した結果、2003年の離職率は28%までに膨れ上がりました。

参考:THE HYBRID WORK:離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史

当時、完璧な人事評価制度を目指したことで、成果主義は失敗に終わっています。

評価の仕方は、上司と話し合って目標を立て、どこまで達成したかで点数を付けるというものです。点数は社員同士で比較し、上位半分の社員は給与が上がり、残り半分は給与が上がりません。

特に点数が悪い社員に対して、改善が見られないようなら退社を促す仕組みでした。行き過ぎた成果主義が原因で失敗したのです。

現在は、従業員の働く時間や場所について多様性を設けています。従業員がそれぞれの都合に合わせて働き方を選べるウルトラワーク制度を導入し、離職率4%と働きやすい会社に生まれ変わっています。

②日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルド株式会社は、2006年に成果主義を導入し、定年制の廃止を打ちだしたことで話題になりました。

日本マクドナルド株式会社によると、社員同士の競争を高めることや、若手社員の実力を伸ばすことを目的として、導入された制度でした。しかし、その思惑とは裏腹に、成果主義は失敗に終わっています。

多くのベテラン社員が自分の成果だけを追い求めるようになり、若手社員や新人の教育を怠り、人材が育たなくなる、ノウハウ継承がうまく進まないなどの問題に直面するようになったのです。

その結果、わずか6年という短い期間で成果主義を辞め、2012年に定年制を復活させています。

③富士通株式会社

富士通株式会社は、1993年と早くから年功序列を廃止し、成果主義を導入しています。社員のモチベーションや競争力を高めるために導入されましたが、大きく業績を落とし失敗しています。

なぜ、失敗したのかというと、業務でミスをすることがマイナスの評価につながるという理由です。

失敗を恐れてチャレンジ精神が失われ、ヒット商品が生まれなくなるだけでなく、成果を出しやすい部署にいると評価されやすいということも挙げられました。さらに、数字が見えない顧客のアフターサービスなどが疎かになり、クレームが多発したことも原因です。

結果的に業績を大きく落としてしまいました。

成果主義を成功させる3つのポイント

ここまでの失敗理由や事例を見てみると、成果主義をやみくもに導入することは良くないことだと分かるはずです。

もし、成果主義の導入を検討しているのであれば、以下の3つのポイントについて考えなければなりません。これらのポイントを考えずにただ導入してしまうと、モチベーションの低下だけでなく、従業員の離職率の増加や生産性の低下につながる恐れがあります。

必ず、確認しておきましょう。

評価制度導入の目的と周知

成果主義の人事評価制度導入の目的を明確化し、従業員に周知することが重要です。

成果主義を導入する目的があいまいで説明不足だと、従業員が導入に不安や疑問を抱いてしまいます。従業員の理解や協力が得られず失敗してしまう恐れがあるでしょう。

業績を拡大するために競争させる目的があることや、従業員のモチベーションを向上させるなど、目的を設定。そのうえで、ミーティングや説明会、個別面談などを通じて周知することが重要です。

評価基準の明確化

成果主義の導入を成功させるのであれば、評価基準を明確にしなければなりません。

なぜなら、基準があいまいだと部署や仕事内容によって評価結果に不公平が生まれ、従業員のモチベーションが低下する可能性があるからです。

評価基準は公平性を保証するために、全ての従業員にとって適用可能である必要があります。部署や業務内容によって基準が異なることは避け、同じ基準が全ての従業員に公平に成果を評価することが重要です。

とはいえ、全ての部署や業務内容によって基準を同じにすることは難しいと感じることでしょう。

弊社オレコンでは、完全な成果主義ではありませんが、どこよりも評価基準を明確にし、どんな仕事をしていても平等に成果を評価できる基準があります。下記の記事では、人事評価制度の透明性がいかに重要なのか詳しく解説しています。人事評価についてお悩みの方は、ぜひこちらもお読みください。

従業員の教育とサポート

成果主義の成功には、従業員の教育とサポートが欠かせません。

失敗事例でも触れましたが、従業員の教育とサポートを行う体制を整えないと、個人主義やスキルの停滞に陥り、新しい人材が育たないからです。

従業員の教育とサポートを行うことで、新たなスキルや知識を獲得し、成長する機会を提供することができます。これにより、従業員は自己成長を実感し、組織に貢献する意欲を高めることができます。

例えば、上司が部下の教育やサポートを行うことを評価項目の中に入れ、部下が成長すると、上司の成果として評価するなどを実施します。工夫次第で、優れた人材を育成し、持続的な競争力を確保することができるはずです。

人材開発やそのサポートも必ず行いましょう。

まとめ

成果主義の人事評価制度は、従業員の成果に応じて報酬を決める仕組みです。従業員のモチベーション向上や競争心の高まり、人員コストの適正化など、多くのメリットが期待されます。

しかしその一方で、日本企業においては成果主義が失敗する事例も少なくありません。失敗の理由として、日本の企業文化との相性の悪さや評価基準の明確性の欠如が挙げられます。日本企業における終身雇用制度や評価基準の不透明さは、成果主義の導入に際し課題となる要因です。

成果主義を導入する際には、企業の文化や状況に合わせたカスタマイズや準備が必要であり、従業員の理解と協力を得るための努力が欠かせません。

「自社の状況だと、どう評価制度を整えればいいのか?」

など、疑問やお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお声がけくださいね。

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