人材開発

OKRを導入するメリットとは?

OKRとMBOの違いとは?

OKRと混同されがちなものに「MBO」があります。

MBOとは、「Management by Objectives(目標管理)」の頭文字を取った略称であり、組織と個人の目標を結び付けて、社員が自主的に行動し成果を出すためのセルフマネジメントの管理手法です。

社員自身が目標達成に向けてタスクを管理して、その成果が、昇進・昇級などの評価に反映されます。
いわゆる従業員を評価するツールとなります。

OKRは目標の達成率が60~70%であるのに対し、MBOでは達成率100%を目指します。

OKR(目標と成果指標)を設定する

さて、OKRはどのように設定するのでしょうか?
決して難しいものではありません。

まず、3~5個の目標を立てます。
多すぎる目標はチームの負担となるため、3~5個で設定します。

次に、それぞれの目標について成果指標を3個ほど設定し、全体の優先順位を決めます。
計測可能で、実現すれば目標達成に直接結びつくことがわかるような指標を使います。

OKRは、立てた目標に対して短期間で繰り返しフィードバックを行い、必要に応じて改善を行います
1年や半年の単位ではなく、四半期に一度見直すことが望ましいです。

OKRの設定例

それでは、OKRの具体的な設定例を紹介します。

Objective (目標): 新商品の市場投入による収益拡大
Key Result 1 (成果指標1): 新商品の売上が前四半期比で50%増加
Key Result 2 (成果指標2): 新商品の顧客満足度が最低4.5以上の評価を受ける
Key Result 3 (成果指標3): 新商品のブランド認知度を地域市場で20%向上
Objective (目標): 社内プロセスの効率化と改善
Key Result 1 (成果指標1): プロジェクト管理ツールを導入し、プロジェクトの遅延率を10%以下に削減
Key Result 2 (成果指標2): 社内コミュニケーションツールを統合し、返信率を20%向上
Key Result 3 (成果指標3): 重複作業を削減し、コスト削減を20%達成
Objective (目標): 社員のスキル向上と満足度の向上
Key Result 1 (成果指標1): 全社員の研修参加率を80%以上に増やす
Key Result 2 (成果指標2): 社員アンケートによる満足度を5段階評価で4以上に向上させる
Key Result 3 (成果指標3): 少なくとも30%の社員がキャリアプランを策定し、成長を実現する

このように、具体的な目標と数値目標を設定し、組織やチームが共通の目標に向かって取り組めるよう方向性を示します。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリットは、何でしょうか?
OKRのメリットを下記のように考えます。

・明確な目標設定による、仕事に対する方向性の理解向上
組織目標の透明性と組織全体の連携促進
生産性の向上と成果の期待
・高い目標設定によるチャレンジ精神・成長・イノベーションの推進

エンゲージメントとモチベーションの向上

■明確な目標設定による、仕事に対する方向性の理解向上

OKRは、シンプルな言葉で目標を表現し、組織全体が共通の目標に向かって一体となることができます
明確な目標設定により、メンバーは仕事に対する方向性を理解しやすくなります。

■組織目標の透明性と組織全体の連携促進

OKRは、全てのレベルの目標を透明にするため、組織全体が連携しやすくなります
個人の目標が組織の目標とリンクされるため、組織全体の最適化が促進されます。

■生産性の向上と成果の期待

OKRは、成果に焦点を当てるため、タスクの量よりも品質と成果に重点を置きます。これにより、生産性の向上や成果の最大化が期待できます

■高い目標設定によるチャレンジ精神・成長・イノベーションの推進

OKRは、野心的な目標を立てます。
高い目標に挑戦することで、成長やイノベーションを推進すると考えられます。

■エンゲージメントとモチベーションの向上

OKRは、目標の設定に社員が参加し、自主的に行動することを重視します。社員が目標に共感し、自分の成果に責任を持つことで、エンゲージメントとモチベーションが向上します

OKRで重要なのは「透明性」

OKRで重要なのは、ずばりその「透明性」です。
OKR を組織に導入するときは、「OKRとは何か」「なぜそれが役に立つのか」「それをどのように使用するのか」を明確にする必要があります

全社的なOKRの設定はチームの調整に役立ち、すべてのメンバーが同じ目標に向かって取り組んでいることを確認できます。

MITスローン・スクール・オブ・マネジメントとロンドン・ビジネス・スクールが実施した2015年の調査によると、1万1,000人の上級経営者、リーダー、マネージャーのうち、企業の上位3つの優先事項を正しく特定できたのはわずか3分の1のみであることが分かりました。
部門や従業員が優先順位を明確に設定できずに意思決定を行うため、企業は時間の経過とともにさまざまな方向に向かう可能性があります

全社的なOKRを設定することで、組織全体が同じ目標に取り組むことになります。同じ目標に取り組むことで、組織内の全員がそれらを達成するためにお互いをサポートします。
結果として、従業員のエンゲージメントが向上するのです。

 

 
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OKRの注意点

OKRの導入は、メリットばかりではありません。
導入する際の注意点ももちろんあります。

・OKRの説明の欠如
・目標の設定が困難
・目標に対する成果指標が不十分

■OKRの説明の欠如

OKRの目標の達成率は、60~70%が理想的です。
プロジェクトが他のチームの目標と関係がある場合は、その目標設定の方針をしっかりと理解してもらう必要があります
目標実現に取り組むチームと、目標達成の一環である仕事にかかわる他のチームとも、十分なコミュニケーションをとり達成率についてきちんと伝えましょう。

■目標の設定が困難

目標の設定が難しい場合があります。
OKRでは、明確なビジネス上の価値を示すことが不可欠です。
目標が高すぎたり、低すぎたりと数値目標の設定が適切でないと、目標に対するモチベーションの低下につながります。

■目標に対する成果指標が不十分

目標を達成するために必要なことがすべて成果指標に盛り込まれていない場合、予想外の失敗が起きる可能性があります
その結果、メンバーやチームは失敗感や失望を感じ、モチベーションの低下や離職につながる可能性があります。

まとめ

OKRは、実際にGoogleやメルカリ、chatworkなどの企業が導入しています。

OKRを導入することで、社員全員が同じ目標に向けて取り組むようになり、社内コミュニケーションの活性化や従業員のエンゲージメントの向上、組織目標の達成を期待することができます
注意点もありますが、OKRの導入を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

 

 

 

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