ジョブ・クラフティングとは、従業員が主体的に仕事の向き合い方や捉え方を見直すことで、従業員自身が自分の性格やスキルに合わせてカスタマイズし、仕事にやりがいを見出す考え方です。
従業員自身が仕事をやりがいのあるものに再設計することで、より意義のある、満足度の高い仕事ができるようになります。
例えば、美容師であれば「髪を切る仕事」ではなく「髪をきれいにすることでたくさんの人におしゃれを楽しんでもらう仕事」と思うことでその仕事にやりがいを感じるようになります。
仕事に対する考え方を変えて、価値ややりがいを見出すことで仕事が「楽しいもの」になるのです。
ジョブ・デザインとは?
ジョブ・クラフティングと混合されがちなのが、ジョブ・デザインです。
それでは、ジョブ・デザインについて簡単にご紹介しましょう。
ジョブ・デザインは、組織(経営者)が主体となり、仕事の構造や内容を計画的に設計し、効率性や生産性の向上を図る手法です。
従業員が主体的に行動するジョブ・クラフティングに対し、ジョブ・デザインは、組織(経営者)が主体的に行動するというわけです。
ジョブ・クラフティングのメリット
それでは、早速ジョブ・クラフティングのメリットをいくつか挙げてみましょう。
1.モチベーションの向上
従業員が自分の仕事を自分のスキルや興味に合わせてカスタマイズすることで、仕事に対するモチベーションが向上します。
仕事がより意義深く、興味深いものとなるため、従業員はより情熱を持って取り組むようになるでしょう。
2.従業員満足度の増加
ジョブ・クラフティングにより、従業員は自分自身に合った仕事を創り出せます。この結果、仕事に対する満足度が向上し、ストレスや不満の軽減にもつながると考えられます。
3.エンゲージメントの増加
自分の仕事をアレンジできることで、従業員はより主体的に仕事に取り組むようになります。
これまで受け身だった従業員のエンゲージメントが高まり、組織への貢献意欲が増すでしょう。
4.スキルの発展
ジョブ・クラフティングによって新しいタスクや責任を取り入れることができるため、従業員のスキルセットが広がります。
これにより、個人の成長とキャリアの発展が促進されます。
ジョブ・クラフティングのデメリット
ジョブ・クラフティングには、従業員や組織にとって多くのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
続いて、デメリットについてご紹介しましょう。
1.業務の過負担
従業員が自分の仕事をカスタマイズし過ぎると、業務の過負担や労働時間の増加が発生する可能性があります。いわゆる、属人化です。
これが、ストレスやワーク・ライフ・バランスの悪化を招くことがあります。
ジョブ・クラフティングを従業員に任せきりの状態にするのではなく、定期的な評価や進捗確認を通じて、必要に応じて軌道修正・調整する手段を提供しましょう。
2.組織全体の目標との整合性の欠如
従業員が個別に仕事をカスタマイズすることで、組織全体の目標との整合性が希薄になる可能性があります。
組織の戦略と個人の仕事内容が乖離することで役割の境界が曖昧になり、責任の所在が不明確になるかもしれません。
ジョブ・クラフティングを導入する際に、各従業員の役割や責任を明確に定義し、どの範囲内でのカスタマイズが許容されるかを示しましょう。
役割の境界をはっきりさせることで、役割の乖離や混乱を防ぎます。
ジョブ・クラフティングの導入手順
ジョブ・クラフティングのメリット・デメリットについてご紹介しましたが、どのように導入すればいいのでしょうか?
早速、導入手順を見てみましょう。
1.準備と評価
まず、業務の洗い出しを行い、現状の仕事の構造や従業員のニーズを評価します。
従業員の意見やフィードバックを収集し、ジョブ・クラフティングの導入の必要性を確認します。
ジョブ・クラフティングは、自分に合うようにカスタマイズし、仕事にやりがいを見出すことなので、やりたくない仕事や苦手に感じている業務も選定しましょう。
2.ガイドラインと教育
次にジョブ・クラフティングのガイドラインを策定し、従業員に提供しましょう。
従業員に対してジョブ・クラフティングの概念、利点、ルールを共有し理解を深めます。
3.カスタマイズの提案と実施
従業員は、カスタマイズを提案するために今までの業務の中で自分の価値を見出せたことや得意なこと、強みなどを洗い出します。
そして、カスタマイズした業務の提案を行います。
提案がガイドラインと組織目標と整合するかを評価し、必要な調整を行いましょう。承認された提案に基づいて、従業員が仕事をカスタマイズする準備をします。
4.実施とフォローアップ
早速、カスタマイズされた仕事の実施を開始します。
定期的な評価とフィードバックを通じて、効果をモニタリングし、課題や改善点を特定し続けましょう。
ここでは、従業員のパフォーマンスが向上しているのか、気持ちの変化はあったのかなど、従業員の満足度も確認することが大切です。
3つのジョブ・クラフティング
ジョブ・クラフティングには、3つの考え方・手法があります。従業員がそれぞれ、どのように仕事をする傾向があるのかで実践する手法が変わってきます。
それでは、ジョブ・クラフティングの3つの手法をご紹介しましょう。
1.タスクや方法のクラフティング
自分の仕事に対して、新しいスキルやノウハウを学んだり、アドバイスを取り入れたりすることで、仕事の進め方や方法を改善します。
例えば、ある従業員はクライアントに対してのプレゼンテーションが得意だとします。
そこで、従来のスライドや資料に頼るスタイルではなく、対話的なアプローチを取り入れてみる工夫をします。
このようなアプローチの変更によって、従業員は自身の得意なスキルを活かすことができます。
他にも新しいツールの導入など、仕組みを変えるアプローチもいいでしょう。
2.人間関係のクラフティング
仕事は常に他者とのコミュニケーションが不可欠です。
相手との関わり方やコミュニケーションの方法を工夫し、良好な人間関係を築くことが重要です。
自分本位のコミュニケーションではなく、組織内での自分のポジションや責任を考慮しながら、相互に良い変化をもたらす働きかけを促しましょう。
状況を理解し、周囲と協力しながら、自身の仕事の進捗や達成に満足感を持ちながら前進していくことで個人や組織全体に成果をもたらします。
3.仕事の意義へのクラフティング
ジョブ・クラフティングの観点から、自分の仕事に対する意義や価値観を見直します。
受け身の姿勢から、自分の仕事が「誰にどのような価値を提供するのか」を考え、仕事に対する意義を再定義します。
仕事の中に自分なりの意義や目的を見つけることで、やりがいを感じながら仕事に取り組むようになるでしょう。
これらの3つアプローチをもとに、ジョブ・クラフティングを進めることで仕事の充実感や成果の向上につながりやすくなります。
まとめ
ジョブ・クラフティングは、従業員が主体的に仕事の向き合い方や捉え方を見直すことで、仕事にやりがいを見出す考え方です。
「従業員のモチベーションが低下している‥」
「定着率が低い‥」
「生産性・成果が上がらない‥」
もしこのような悩みを抱えているのであれば、ぜひジョブ・クラフティングの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事が、少しでもお役に立てたら幸いです。
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参考