人事評価

アダプティブテストとは?従業員のスキルを見極める次世代の評価手法

従業員に毎日テスト受けさせる企業が将来、現れるかもしれません。

このテストは短時間で済みますし、その内容は従業員によって異なり毎回変わります。

そして問題に正解するごとに日々、問題の難易度は上がっていきます。

毎日のテスト、そして段階的に難しくなる問題なんて聞くと苦痛に聞こえるかもしれませんね。

しかしこのテストを乗り越えた先には特別なご褒美が待っています。

テストの結果から各従業員の能力に合わせてピッタリとカスタマイズされた研修プランが導き出されるのです。

それぞれが学ぶべきことにフォーカスを当てて、最も効果的な学習方法を教えてくれます。

さらにこのデータ収集を通じてあなたの企業についての客観的な真実も知ることができます。

誰が何が得意(または不得意)かを計算し、各人材に最適な仕事を推測し、人事部は誰が昇進や社内移動の準備ができているかを把握することができるようになります。

このテストによって未来の組織は、特定の役割に最適な人物が誰であるかについて非常に客観的な判断をすることになります。

人材配置だけではなく、このテストの結果から真実に基づいて採用することもできるようになります。

私たちに迫るAIの時代はスキル評価や組織内のスキルの理解において新たな未来を切り開いてくれるのです。

このようなテストを実施する企業はすべてではないかもしれませんが、年に一度か二度の業績評価で従業員を評価する現在の評価方法がメジャーではなくなる未来が私には見えています。

この記事では現在のスキル評価の方法が不十分である理由と、上述したような革新的な未来に繋がると考える理由を説明します。

スキル評価が重要な理由

人材のスキル評価はいまや一大ビジネスになっています。

人事アナリストのジョシュ・ベルシンが解説しているように、スキルマトリックスや能力モデルの構築は、過去10年にわたって企業の注目の対象となってきました。

スキルマトリックスとは?作成のメリットや項目、注意点を解説

そして企業は採用プロセスや研修プログラム等の内容にスキルを重視した人事制度を取り入れるために切磋琢磨しています。

アメリカ議会の公聴会でもLinkedInのチーフエコノミストであるカリン・キムロウ氏をはじめとする人事専門家によってスキルを優先する人事制度の価値については議論されています。

昨今言われているように、スキルは「未来への通貨」です。それが継続的に重要であることは今や誰もが知っています。

肉体労働よりも頭脳を使って働く仕事への依存度が高い今の経済ではそれぞれの持つ認知能力が人材の価値を決定するようになりました。そして認知能力の合計が、ビジネスの価値の基盤となっています。

要するに「スキル」が私たちの能力と業界における地位を形成するための基本要素となるのです。

そして数字もこれを証明しています。個人スキルのトレーニング市場は470億ドル以上と見積もられており、数年間で求められるスキルも変化すると予想されるため今後はさらに増加する見込みです。

仕事の成果、そして生産性における個人のスキルへの注目度の高さはこれからも続くでしょう。

しかしジョシュ・ベルシンは、私たちはまだスタートラインに着いただけであり、研修プログラムや企業の人事評価はまだまだ遅れている可能性が高いと指摘しています。

仕事、役割、給与レベルを人々が持つスキルの観点から考えたいと思っていますが、現実的にはまだそこには至っていません。

組織における人事評価の現状

上で説明したビジョンが実現するまでにはまだ数年はかかると思いますので現状を見なくてはなりません。

多くの組織ではコンピテンシーモデルの構築やスキルギャップ分析の実施等の素晴らしい分析をしています。

優秀な組織は目標を達成するために逆算して作業を進めています。最初にあなたの組織のなかでレベルを上げたい個人スキルが何かを考えてみましょう。

ただし、この段階で時間をかけすぎないことです。コンピテンシーマップやモデルを何年もかけて磨き上げる企業を見てきましたが、実際のテストや評価ツールの革新まで至らないことが多いです。

Forbesの寄稿者アリソン・デュリン・サリスベリーはこう主張しています。

「完璧なスキルデータを持つことを追求するあまり、この情報をどのように活用するかという大きな問題から目を逸らしてしまっている」

更にSAPの最高学習責任者であるマックスウェル・ウェッセルもこう語っています。

「必要となる5〜10のスキルが何かを決定することは重要です。ですがその決定の後に実際の労働力の変化に取り組むことが、スキルの定義を完璧にすることよりもはるかに重要です。」

対象とする能力やスキルを策定することができれば、人事評価の変革を開始できるのです。もちろんこれは言うのは簡単ですが実際には難しいことであることは理解しています。

そしてこれがまさに私たちがスキルを測定することにおいて、過去10年間大きな進展を遂げていない理由です。

現在のところ、組織は様々な人事評価の方法を使用しています。

それらを以下にリストアップし、それぞれに対する私の意見、現状のスキルを把握するためにはもっと革新的でなければならない理由を解説します。

人事評価の方法

①ハードスキル(専門知識)テスト

人事評価の中で最も簡単なもので、特定の知識を必要とするスキルをテストするために使用されています。

ハードスキルテストは、特定の分野についてどれだけ知っているかを明らかにすることができます。

しかし、これを本当の意味で明らかにするためには頻繁に評価しなければなりません。

また、このテスト内容がレベルに適していない場合、すでに専門性のある人材に自己評価のための無駄な時間を使わせることになってしまいます。

②ソフトスキル(対人関係の特性)テスト

ソフトスキルテストで人事評価をしようとしている企業は少数ですが、今後数年でより人気になると予測されます。

現在の課題はソフトスキルの定義を決め、テストしたい内容を決めることです。

コミュニケーション能力や協調性を測定する「正しい」方法は何でしょうか?

現在のところ私たちはその定義を持っていませんし、客観的なものを持つことは決してないでしょう。

代わりに組織は自分たちの製品、価値観、戦略などから独自の評価方法をを設計し、それに基づいてテストを行うことになります。

これを行っている企業はごく少数で、業績評価で個人の評価をしていることが多いです。

③実務に基づくケーススタディテスト

この評価方法は評価やテストによって従業員を疲弊させてしまう事態を避けるために使える回避策です。

大人にとっては忘れがちですが、学習は楽しくて興味をそそるものであるべきなのです。

企業はこのテストで実践的なシミュレーションやケーススタディを作成して、人材がどのように反応し、対応し、強みを示すかを観察します。

しかし、これらは必ずしも従業員が現場で必要とする実際のスキルとは限りません。

採点や評価の部分も全体に合わせて幅広く行うのではなく、目の前のタスクに特化したものになることが多いです。

④業績による評価

おそらく人事評価の方法として最も一般的であり、業績と個人の持つスキルを合わせることで人事評価の基盤を作ることができます。

以下のセクションでこれについてもう少し解説します。

業績による評価と主観的なスキルセット

多くの企業では、スキルを測定する取り組みの多くを業績評価に基づいて行います。

業績評価はとても確立されている評価手法なので、多くの企業ではこの評価のタイミングで上司や同僚、そして従業員自身に自分のスキルやキャリアの成長について意見を求めます。

これは昇進やボーナス、給与などと関連しており、自分の成長や昇進のために最も良い話をすることが重要になります。

ここには明らかな問題があります。

一つの問題は、これが年に一度か二度しか行われないことです。

二つ目の問題はチームのスキルを評価しようとする際の主観性、つまり個人の偏見から生じる主観性です。(ただし業績評価を継続的に管理することでこの問題を少し軽減させることができます。)

業績評価には自己評価も含まれており、従業員に自分の能力に対する自信がどれだけあるかを尋ねることによってスキルの現状と成長度合いを測ってきました。

これには危険があります。

私たちは自分を平均以上と評価する心理的バイアスがあり、実際の能力値ではなく自信から判断してしまう可能性があるからです。

この能力ではない「自信」という観点で、従業員の成長度合いを測るためにROI(投資利益率)の視覚化をしている企業もあります。

以下の画像が実際にDegreedで行っているROIをまとめた評価シートです。このときの評価は本人(または上司)によって判断し、自己申告します。

この記事の冒頭で説明した「大胆な」未来では、スキルの自己評価は必要なくなり努力と感情だけが必要になります。

私たちが自分自身で何かにどれだけ上手かを測ろうとするテスト結果は、プロのボウラーや大リーガーになることを主張するようなことと同じですぐに変わってしまうのです。

アダプティブラーニングによる評価は従業員の昇格に良い影響を与えるだけでなく、評価テストの作成は次第に簡単になり、従業員の強み、生産性、採用の構築に大きな影響を与えてくれるでしょう。

アダプティブテストという新しい評価方法

これまでの研究から従業員は成長していると感じる職場に留まるということが分かっています。

しかしその研究結果はそこで終わっているので、雇用維持するための方法は個人の感情に依存しています。

また、従業員が役職やキャリアに必要なスキルを向上させている場合、組織の文化にどのような影響を及ぼすかについても分かっていません。

従業員が自身の成長を見て、「雇用主が成長を促してくれた」と認識することができればどうなるでしょう。

私たちは過去の職を振り返りそこで得た役職や役割ではなく、提供されたスキルの加速や成長率で見るべきです。

私は採用担当者が本当のスキルを知らないままに、入社する社員を選んでいたことについて疑問に思います。

どうして私たちは履歴書に書かれた能力を信じ、それが実証されていないのに採用したのでしょうか?

企業もこのデータを知りたいはずです。

学習開発チームはよりデータに基づいたアプローチを始める必要があり、今後数年以内に部門別やグループ全体、または会社全体のスキル成長に関するデータが部門長に提供されることを期待したいです。

ここまで解説してきて、私の持つビジョンの方向性が見えてきたでしょうか。

人事評価は人事チーム、採用担当者、部門長にとって、全員にとって有益です。これは学習の新時代(AIによってそれぞれに合わせた学習や研修計画を作成できる時代)への足がかりとなります。

評価を作ることが、それほど簡単になったということです。

AIは必要な質問、テスト、クイズ、実践的な練習などを作ることを今までになく簡単にしてくれます。

この新しい技術は、これからのテスト作成において多いに役立つでしょう。

どんなスキルにも何千もの質問を用意し、それらはただの選択問題や◯☓問題だけではありません。

リアルタイムで回答に適応するケーススタディも作成できます。それがAIができることです。

そして、どんなトピックでも、どんなコンテンツからでも始めることができます。

生成型AIツールは、ビデオ、PDF、記事を評価可能なコンテンツに変えることができます。

会社の5年間の戦略についてクイズをしたとしたら、結果はどうなるでしょうか。

私は今年、Learnswellという会社のアドバイザーを務めています。

彼らはまさにそのようなことをしていますが、今では他の多くの企業も同様の事業を始めています。

この技術によってあなたが望むどんな分野についてもこれまでになく簡単にテストができます。

AIを活用することで従業員のトレーニングは役立つ評価や分析から革命を遂げ、企業の生産性は向上していくでしょう。

まとめ

個人のスキルは今、注目されているトピックです。

組織は、従業員が成功するために必要なスキルが分かるような仕組みを作っています。

企業は特定のスキル構築を目的としたトレーニングを販売しています。

これは現時点で適切な人事評価の基盤のように感じます。

特に2030年までに現在のスキルの約40%を変更する必要があるという推定を考えると特にそう言えます。

技術、データ分析、従業員プラットフォームの進歩は、スキルやスキル戦略の構築、測定、展開方法において大規模な革新のための絶好の時期となっています。

数ヶ月後に必要になるかもしれないスキルについての動画を見る時代ではなくなります。。

これからの時代はスキル測定とそれに伴うパーソナライズされた学習による人事評価革命です。

従業員は求められているスキルの到達レベルや評価の書かれたスコアカードを持つようになるでしょう。

そして企業はこのスコアカードを基に採用を行うでしょう。

そうすれば、会社はあなたの成長に本当に必要なものを提供できるようになります。

少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、人類史上最も効果的な成長の時代をもたらすかもしれません。

さあ、始めましょう!

 

この記事は、この記事は Eric Grantに許可を得てPeople Managing Peopleに書かれたA New Blueprint For Employee Skills Assessmentの記事を翻訳して掲載しています。

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